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 公的統計データなどを基に語られる“事実”はうのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。
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 2019年11月20日に、安倍首相は内閣総理大臣として通算在職日数の最長記録を更新しました。それまでは、明治から大正期にかけて活躍した桂太郎(2886日)が最長でした。約100年の時を経てようやく記録が更新されたのですから、議院内閣制がいかに長期政権を築きにくいかをうかがわせます。

 12年12月26日に発足した第2次安倍内閣以降、皆さんは何が印象に残っているでしょうか。「桜を見る会」「日報隠蔽」など様々浮かぶでしょうが、私は「アベノミクス」です。13年の新語・流行語大賞のトップテンに入賞したほどです。

 本当に不思議なもので「なんだか経済が良くなりそうだ」と感じたのを覚えていますし、12年ごろと比べて現在の景気が良くなっていると答える人は、多いのではないでしょうか。

 さて、データサイエンティストとしては「景気が良いって、どうやって測るのだろう? どう証明したらよいだろう?」と悩みます。株価でしょうか? 円相場でしょうか? 有効求人倍率でしょうか? 消費者物価指数でしょうか?

 様々考えられるでしょうが、最適だと思われている指標の1つがGDP(国内総生産)です。

 GDPとは、国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の総額を意味しています。GDPの出し方は全世界でほぼ共通しており、国連が統一基準として「国民経済計算」すなわち「SNA(System of National Accounts)」というマニュアルを設けています。国の経済規模を比較するために、世界中で使われている指標と言ってもいいでしょう。

2018年名目GDP(USドル)国別ランキング
出典:IMF World Economic Outlook Databases

 ちなみに日本の年次GDP実額(18年度)は名目548.4兆円、実質533.7兆円、世界中の国々と比べても米国、中国に次ぐ第3位だとされています。しかし、本当にGDPで国の経済が分かるのでしょうか?