生活困窮者自立支援という名目の場合、他にも気になる点があります。法律によると「生活困窮者」とは経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなる恐れのある者を指します。しかし、"広義のひきこもり"の方たちが暮らし向きをどう思っているかをみると、全員が全員、困窮しているとは言えないのです。困窮していなければ、支援を受けられないということにならないでしょうか? あるいは困窮していないのに支援を受けていると、周囲から批判にさらされないでしょうか?

“広義のひきこもりの“人たちは家の暮らし向きをどう思っているか
“広義のひきこもりの“人たちは家の暮らし向きをどう思っているか
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 これは仮説に過ぎませんが、生活困窮者自立支援という名目では、中高年層のひきこもりを支援する枠組みのままでは限界が生じるため、「まずはどれくらいの人数がいるかを明らかにしよう」と考えたのかもしれません。そこで、行政を含む関係各位が知恵を絞り、「子供・若者のため」という建前で40歳以上のひきこもり状態の可視化に挑まれたのではないか、と私は考えています。

 だとしたら、本来なら政治家がこのボールを拾って「中高年層のひきこもり支援のために包括的な法整備をしようよ」と号令をかけるべきです。しかし、今どなたが、どの政党がこの問題に興味をもたれているのでしょうか。

8050問題に20年後はない

 ものすごく当たり前ですが、現時点で、8050問題に直面しているほとんどの親と子には20年後はありません。大半の親が亡くなる可能性が高いからです。普通に考えれば、100歳の親が70歳の子どもの面倒を見続けることがそうそうあるとは思えません。しかし、戸籍上でならどうでしょうか。本来は死亡している90歳、100歳の親が戸籍上は同居し70歳の子どもの面倒をみているということは起こりえます。親1人子1人の家庭で親が亡くなった場合、死亡届が出されない可能性があるからです。