内閣府は何もするつもりがない? それとも…

 ようやく明らかになった中高年のひきこもりに対して、内閣府はどのような対策を取ろうとしているのでしょうか? それは、調査目的を読めば分かります。一部を引用します。

(略)40 歳以上でひきこもり状態にある者の状況等について把握することで、子供・若者がひきこもり状態となることを防ぐために必要な施策や、ひきこもりの長期化を防ぐための適切な支援を検討するための基礎データを得ることを目的とする。

 私自身、この一文を読んでハッとしました。目的は「子供・若者のため」であり、40歳以上のひきこもり状態にある人たちの支援のためではないのです。

 そもそも中高年層のひきこもりの実態を調べる法律や根拠はないのです。以前から行われている「ひきこもり対策推進事業」は、法的なよりどころを「子ども・若者育成支援推進法」に求めています(参照)。過去2回のひきこもりに関する調査も、この推進法第17条によるものです。

 ひきこもりを支援するために全国各地に設けられている「ひきこもり地域支援センター」も、年齢制限が課せられている例が少なくありません。例えば東京都では、訪問相談の対象を「義務教育終了後の15歳からおおむね34歳まで」と区切っていました。19年の6月になってようやく、東京都も「義務教育終了後の15歳以上」に変更され、35歳以上でも利用できるようになりました。

 「ひきこもり対策推進事業」によると、中高年層のひきこもり対策は生活困窮者自立支援制度が該当するようです。19年6月には、厚生労働省から各地方自治体の生活困窮者自立支援制度主管部(局)長宛に「ひきこもりの状態にある方やその家族から相談があった際の対応」に関する通知が出ています。要は「関係各位と連携してちゃんとケアしてね」ということらしいです。

 しかし、生活困窮者自立支援の目的はあくまで「自立の支援」、つまり「就労」です。しかし、さきほど紹介した"広義のひきこもり"の方たちの「ひきこもりの状態になったきっかけ」は、その大半が「仕事」なのです。様々なつらい経験を乗り越えて再び就労するとなると、1年以上の時間軸で考えねばならないでしょう。それに、ひきこもりの方々の支援に必要なのは「就労」でしょうか? まずは、社会との接点を回復し、健やかな日常を通じて、社会を担う一員になることが必要ではないでしょうか。なんでもかんでも「就労」に落とし込んでしまうのがいいこととは思えません。

ひきこもりの状態になったきっかけ
ひきこもりの状態になったきっかけ
出典:内閣府「 生活状況に関する調査(平成30年度)」(単位:人、複数回答)
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