日本は若いリーダーがいたから高度経済成長を迎えたのでしょうか。いいえ、1960年時点で、池田勇人首相の就任時年齢は60歳でした。もっとも、所得倍増計画の理論的支柱だった下村治は50歳とやや若いですが……。
そもそも、長期経済統計によると、1956年度以降の実質経済成長率と、その年度末時点の総理大臣の年齢、あるいは内閣の中央値年齢、内閣の最年少年齢いずれも相関関係はありませんでした。参考に実質経済成長率と総理大臣の年齢の相関関係図を載せておきます。
若いリーダーが登場することが目的ではなく、若いリーダーによって経済の停滞が打破され、例えば給料が増えることが本来の目的のはずです。そして過去の歴史上、経済成長と政治リーダーの年齢に関係がないことを表しています。
今まで60代以上が多かった日本の政治だから、若い人が登場すれば何かが変わるかもしれないと期待する気持ちは分かります。しかし占領国だった日本を独立に導く偉業をなし遂げた吉田茂は70代でした。「若いから何もできない」と言っているのではなく、「若さ」だけに依存して局面を突破することを期待するのはやめようということです。
若ければ、それでよいのか?
政治は肉体を酷使しますが、スポーツではありません。スポーツなら肉体のことを考えて「同じような成績なら若手を使う」と考える監督もいるでしょう。しかし政治家の場合、肉体的にハンディがあっても、第一線で活躍する人もいます。海外の例で言えば、フランクリン・ルーズベルトは車椅子を常用しながらも第一線で活躍しました。
政治家の中には、当選回数を重ねていてもほとんど実績がなくて「何もできていない」とガッカリさせられる方もいます。また、ほとんど実績がなくても若さゆえに「何かやってくれそう」と期待する気持ちもあります。
しかし、国連気候変動枠組み条約のクリスティアナ・フィゲレス前事務局長の発言を引用したものとはいえ、あれほど期待した(私も期待した)小泉進次郎の口から、「セクシー」のようなポエムが何度も飛び出して、私は膝から崩れ落ちました。一種のハロー効果(目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての正しい評価ができなくなる現象)にはまって「きちんと見ていなかった」と強く反省しています。
「何もできていない政治家」も「何かやってくれそうな政治家」も、温かくも厳しい目で国民が監視し、次回の選挙で投票するかどうかを決めることが大事だと筆者は考えます。少なくとも1年以内に総選挙が必ずあるので、そのときに「年齢」だけにとらわれない判断を下したいと思います。
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