それでも「53歳」なのです。日本の憲政史上においては「若い」でしょうが、世界と比較すると高齢かもしれません。例えば2019年12月にフィンランドの首相に選出されたサンナ・マリンは当時34歳で、日本では考えられないと話題になりました。
もっとも、2008年に麻生内閣で少子化対策担当・男女共同参画担当大臣として入閣した小渕優子は同じく34歳(当時)です。ただ、当選回数の少ない若手の抜てきは「内閣の目玉」の1つとして使われる手法です。先程の積み上げ棒グラフでは30代の大臣は「赤色」で示しています。グラフを見れば分かる通り、ほとんど登場していません。
30代で閣僚になったのは小渕優子の他に、第1次岸信介内閣(改造)に郵政大臣で入閣した田中角栄(当時39歳)、宮澤喜一内閣(改造)に経済企画庁長官で入閣した船田元(同39歳)、小渕恵三内閣に郵政大臣で入閣した野田聖子(同37歳)、菅直人内閣(第2次改造)に消費者及び食品安全担当大臣で入閣した細野豪志(同39歳)、第4次安倍晋三内閣(第2次改造)に環境大臣で入閣した小泉進次郎(同38歳)のみです。
確かに「若手」の大臣就任はあったものの、表現は悪いですが、多くのポストは軽量級です。軽いからダメだと言うつもりはありませんが、財務(大蔵)大臣、外務大臣、経産(通産)大臣、最近なら内閣官房長官に若手が就いてこそ「若い」と言えるのではないでしょうか。しかし、実際には派閥の領袖や重鎮が就くケースが多いようです。
ちなみに小渕内閣、森内閣、第1次小泉純一郎内閣の期間と、第2次安倍内閣から菅内閣の間で大蔵大臣(緑線)、財務大臣(オレンジ色の線)の年齢が一気に高まっていますが、それぞれ宮澤喜一(78~81歳)、塩川正十郎(79~81歳)、麻生太郎(72~80歳)が就任しているからです。
総理大臣の年齢と経済成長率との間には相関はない
これまで内閣の閣僚の年齢と推移を見てきました。国によって事情は違うので一概にフィンランドや他の国と比較するのは難しいでしょうが、それでも「若いリーダーがいてほしいよね」とは思います。一方で、若さが何の役に立つのかとも考えます。
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