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 先ほどの「OECD諸国の中で日本は出生率が低く、女性の労働力率も低い」とした表で、「仕事に就く」と「子供を産む」が両立する(正の相関関係がある)ように見えたのは、00年時点の国同士の比較をした場合のことなのです。これを時系列の変化で見ると1990年代のほとんどの期間と2010年代は合計特殊出生率が下がっているのです。

 2000年代に出生率が下げ止まり、上昇しているのは、山口論文で触れられている第3の変数にかかわる政策がいくつかの国で実現されたからだとも考えられます。

 では、10年代の出生率の低下はどうやって説明できるでしょうか。Brewster・Rindfuss論文Engelhardt・Kögel・Prskawetz論文 山口論文でも説明できていない「第4の変数」が10年代から発生し、合計特殊出生率を下げていると考えられます。

 私の見ている範囲が狭いからかもしれませんが、この「第4の変数」をうまく説明できている論文にはまだ出会っていません。

 例えば若者世代の可処分所得が減った、失業率が異常に高いといったことが考えられますが、いずれにしろこれらの国々の統計データを集めて因果関係を推察するとなると、膨大な時間が必要になりそうです。

 日本はまだ「第3の変数」である「仕事と育児の両立」や「職の柔軟性による両立」ですらその実現に四苦八苦しているのに、それに加えて「第4の変数」が現れたとなると関係者の頭はますます痛くなるばかりではないでしょうか。