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 そういえば以前、「カガクでネガイをカナエル会社」の社員の奥さんが「夫が育休から復帰後2日で、関西への転勤辞令が出た。引っ越したばかりで子供は来月入園。何もかもありえない。不当すぎる――」とSNSで悲鳴を上げて大きな反響を呼びました。

 すぐさま日経ビジネスが取材し、その記事は大きな評判を呼びました(参照:「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃)。

 少なくとも、関係する官庁は「こうした対応が少子化を促進する」と激怒するべきです。弁護士の見解によると「違法とまでは言えない」そうですが、政治の力で「違法」にしなければ、少子化は進む一方です。

 少子化問題について考え方を変えなければならないのは、国でも官僚でもありません。企業であり、そしてそこで働く私たち一人ひとりなのではないでしょうか?

2010年代に現れた未知の「第4の変数」

 ただし、これまで紹介してきた論文は、対象とするデータが00年代前半までのものであり、最新のデータではありません。そこで現在はどうなっているのか調べてみました。

 「OECD Data」のサイトを使えば、加盟する国の統計データを調べられます。そこで、OECD24カ国(1人当たりGDPが1万ドル以上)の合計特殊出生率と女性の労働力率(15歳~64歳)の統計データを取得しました。

 合計特殊出生率と女性の労働力率がほぼ無相関になった1985年以降、24カ国の合計特殊出生率と女性の労働力率(15歳~64歳)の平均を求め、年単位で散布図にまとめてみました。以下のように推移していると分かります。

2010年以降女性の労働力率が上がっても出生率が上がらなくなった
出典:OECD Data

 女性の労働力率は一貫して上がり続ける一方で、1990年~98年は合計特殊出生率の平均値は下がり続けています。そして2000年を超えた02年~08年は上がります。ところが、10年以降、17年までは下がり続けているのです。

(ちなみにこの10年~17年に出生率が上昇した国は、対象国の中ではオーストリア、ドイツのみ。なんとか横ばいなのはギリシャ、スイス、スペイン、デンマークで、残り18カ国は下落していました)