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年齢による投票行動の違いは影響した?

 中でも注目されたのが「年齢」です。もっとも大規模な出口調査(市内24区投票所280カ所で調査を行い、投票を終えた有権者1万77人が対象)を行った読売新聞社と読売テレビの共同調査によると、以下のような結果になりました。

2015年住民投票の年代別出口調査結果
左側は男性、右側は女性。反対派は黄色、賛成派は青色(読売テレビの報道より著者が作図)

 70代以上のみ反対派が多数を占めて、それ以下の世代は賛成派が多数を占める結果となりました。この結果をして、SNSだけでなくテレビの情報番組でも「シルバー民主主義の勝利」だと騒がしく語る人がいて、当時とても残念な思いをしたのを覚えています。

 しかし、実際はどうだったのでしょう。のちに公開された「特別区設置住民投票における年齢別投票行動調査の結果について」(大阪市)が投票者数や投票率の詳細なデータを報告しています。年代別の投票者数は以下のように分かれています。

2015年住民投票における年齢別投票行動

 70代以上の投票者数や投票率は高いものの、もし各年代の投票傾向が読売新聞社と読売テレビの共同調査結果の通りだとして計算すると、反対65万4599票、賛成75万1485票となり、約10万票の大差をつけて賛成派が勝利宣言を出していたことになります。ちなみに、出口調査の結果を3.6%入れ替える(賛成の割合を3.6%下げて、反対の割合を3.6%上げる)と反対70万5218票、賛成70万866票と実態に近付きます(無効票・白投票を考慮せず)。

 実際のところ、投票者全体の26%をも占める約36万人の期日前投票の出口調査を合わせて分析すべきでしょう。住民投票当日のデータだけでは「実態とかい離している」と言わざるを得ません。実際に「『大阪都構想』住民投票の世論調査と出口調査を考察する」(峰久和哲、朝日新聞社)においては、朝日新聞社とABCテレビによる期日前投票の出口調査では、反対派の比率がかなり高かったことが明らかにされています。

 つまり薄氷すぎて、性別・年代別だけでは明確な「理由」がみつからないのです。当日までに何か1つ違っていれば、異なる結果が生まれたかもしれないのが15年の住民投票でした。