全4722文字

 実際に調べていないからには類推して求めざるを得ません。ただ、食品廃棄物の「過剰除去」を調べているのは、たった3市区町村のみ。あまりに数が少な過ぎます。この3市区町村から割り出した食品ロス量の割合「11.4%」は、残りの市区町村の食品廃棄物総計に掛けてよい比率なのでしょうか?

 食品ロス量の割合を出す際には、「平均値から標準偏差の2倍以上の小さな値を外れ値として除外した」そうです。しかし「過剰除去」について3市区町村全てが「実際は外れ値」の可能性だってあるのです。もしこれらの自治体が、絶対に食べられない「食べ残し」や「過剰除去」を食品ロスと断定していたら、それだけで全国の食品ロス量は大きく変化します。

 「無いよりマシ」という声もあるでしょう。しかし脆弱な根拠によるデータはゴミです。データサイエンスで「garbage in, garbage out」(「無意味なデータ」を入力すると「無意味な結果」が返される)は鉄則だと私は考えます。

事業系食品ロス約352万トンの算出方法

 事業系食品のロスはどうでしょう。19年4月、農林水産省が「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」として発表した資料に、事業系食品ロスの大まかな発生元が記載されています。

 製造や卸売においては必ずしも消費者に向けて販売していないので、資料では食品ロスの定義を「仕入れた食材・食品、食材を加工・調理等してできた食品及び副次的に発生したもので食用にできるもののうち、最終的に人に食されることなく食品廃棄物等(食品の製造や調理過程で生じる加工残さ、食品の流通過程や消費段階で生じる売れ残りや食べ残し等)となってしまったもの(資料では「可食部」と表現される)」としています。

事業者から排出される食品廃棄物に対する食品ロス量と割合
食品ロスでは、その量と割合に注目すると外食産業がともに高いことが分かる

 事業系食品廃棄物のうち大半を食品製造業が占めていますが、食品ロスに限ると食品製造業と外食産業が大半を占めています。ただし食品廃棄物に占める食品ロスの割合で考えれば、より深刻なのは外食産業のようです。

 では、どうやってこの食品ロスの量を算出したのでしょうか? 残念ながら、この資料にはその方法は掲載されていません。

 ヒントになると考えたのは、農林水産省委託業務の「平成29 年度食品産業リサイクル状況等調査委託事業報告書」です。この報告書では、食品リサイクル法に基づく定期報告を提出した4780の事業者に対して、食品廃棄物に占める可食部等に関するアンケート調査を実施しています(有効回答数は2200事業者で回答率は約46%)。

 その結果をもとにした事業系食品ロス量の求め方は、家庭系食品ロス量の求め方と同じです。事業者の回答結果から食品廃棄物に占める食品ロス量の割合を求め、その数値をもとに食品関連事業者全体の食品ロス発生量を計算し、拡大推計しています。

 事業系食品ロスにおいては、その発生要因も集計されています。

食品ロス発生要因の内訳