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 その結果をもとにした家庭系食品ロス量の求め方は、けっこう複雑です。

 まず家庭から排出される食品廃棄物(主に調理くずや食べ残し、賞味期限切れ等)の発生量を把握している約200市区町村の回答結果をもとに、把握していない市区町村の「食品廃棄物」の発生量を推計します。その結果、788万9000トンだという推計が出ます。

家庭から排出される食品廃棄物の発生量の推計方法
食品廃棄物の発生量はその数値を把握している自治体の数字をもとに、把握していない自治体の量を推計している

 次に、「食品廃棄物」に占める食品ロス(本来食べられるのに捨てられてしまう食品)の量の割合を把握している市区町村の回答結果を元に、把握していない市区町村の「食品廃棄物」に占める「食品ロス量」を推計します。

 ちなみに家庭系食品ロスの内訳は過剰除去(皮を厚くむき過ぎるなど取り除き過ぎたもの)、食べ残し(作り過ぎで食べ残された料理)、直接廃棄(冷蔵庫などに保存されたままで調理されず廃棄された食品)の3種類に分けられています。この内訳ごとに「食品廃棄物」に対する「食品ロス量の割合」を求めます。結果は以下の通りです。

家庭から排出される食品廃棄物に対する食品ロス量の割合
食品廃棄物に対する食品ロスの量の割合は、それを把握している自治体の数字をもとに出される。それらの数字を把握している自治体は全国1741自治体のうちごくわずか(過剰除去では3自治体)にすぎない

 この結果をもとに、食品ロス量を把握していない市区町村の「食品ロス」の発生量を類推します。その結果、直接廃棄・過剰除去・食べ残し合わせて約291万トンだと推計されます。

食品ロス量の推計結果
推計された食品廃棄物の発生量に食品ロス量の割合(食品ロス量を計測している自治体の数字をもとにした推計値)を掛け合わせて「②拡大推計」を出す。これに、実際に食品ロス量を推計している自治体の①食品ロス量を足す。これが全体の食品ロス量としている

 以上から分かる通り、「家庭系食品ロス約291万トン」という数字は、類推に類推を重ねて算出されています。これは実態というよりも概念であり、本当の量はそれ以上かもしれないし、それ以下かもしれないという曖昧なものです。誰かが目撃したわけでもなければ、実際に調べたわけでもないのです。