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 公的統計データなどをもとに語られる“事実”はうのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。
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 2019年5月24日に成立した「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)が10月1日から施行されました。食品ロスとは「食品廃棄物のうち、まだ食べられるのに捨てられてしまった食品」という意味です。国は本年度中に基本方針をまとめ、自治体は削減に向けた推進計画を作ることになっています。

 ちなみに、皆さんは過去1年間でどれくらいの食品ロスが発生しているかご存じでしょうか?

 環境省が発表した「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値」の試算によると、2016年度は家庭系食品ロスが約291万トン、事業系食品ロスが約352万トン、合わせて約643万トンだと分かりました。

 国民1人当たり約50キログラム分の食料が、まだ食べられるのに捨てられている計算です。ちなみにこの量は、国民1人当たりのコメ消費量とほぼ同じ。今日食べたコメの分だけ、ゴミとして食品を捨てていると思うとゾッとしますね。

 しかし、果たしてどうやって643万トンが「本来は食べられる」と分かったのでしょうか? 誰が、どのようにして、それを調べているのでしょうか?

家庭系食品ロス約291万トンの算出方法

 平成31年3月、環境省が「平成30年度食品廃棄物等の発生抑制及び再生利用の促進の取組に係る実態調査」として発表した資料に、家庭系食品ロスの計測方法が記載されています。

 実態調査では、家庭から発生した食品廃棄物・食品ロスの量及び処理状況、発生抑制や再生利用に関する取り組みの実施状況などを把握するため、1741ある市区町村全てにアンケート調査を実施しています(有効回答数は1706件)。