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公的統計データなどを基に語られる“事実”は、うのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。

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 2020年9月16日、菅義偉内閣が発足しました。菅総理はその日の記者会見で、ダム放流やふるさと納税、外国人観光客誘致のためのビザ緩和を例に、縦割り行政・既得権益・前例主義を打破して、規制改革を進めていく考えを示しました。既に「携帯料金引き下げ」「地銀再編」などの改革案が出ています。恐らく関係者は戦々恐々としているでしょう。

 中でも、目玉となるのは総裁選でも言及された「デジタル庁」ではないでしょうか。菅首相が掲げた看板政策とあって、来年中にもスタートが求められている重要な政策です。デジタル庁と聞くと、台湾のデジタル担当政務委員であるオードリー・タン氏を思い浮かべる人も多いでしょう。台湾で新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みに成功した理由の1つに、オードリー・タン氏を含むデジタル関係者の尽力が挙げられるでしょう。

 ひるがえって日本では、新型コロナウイルス禍で行政手続きの遅さや連携不足が露呈し、デジタル後進国ぶりがあらわになりました。菅首相がデジタル庁の設置を強く進めるのも、縦割り行政が原因でデジタル施策が前に進まないからでしょう。9月23日にはさっそくデジタル改革関係閣僚会議が開かれました。会議で配布された資料では、様々な課題が明記されています。

 さて、20年7月10日、UNDESA(国連経済社会局)が国連加盟193カ国を対象とした世界電子政府ランキング(E-Government Survey 2020)を発表しています。日本の順位は14位でした。前回(18年)の10位から順位が下がったことや、隣国の韓国が2位に上昇したことに触れた報道もありました。そうした視点から見れば、残念な順位とも思えますが、決して低い順位ではありません。ちなみにG7で日本より上位にランクインしているのは米国、英国のみです。つまり、このランキングを見る限り、日本は電子政府としては「成功した部類」に含まれるのです。

 はたして、日本はデジタル後進国なのでしょうか。それとも電子化に成功した政府(国)なのでしょうか。電子政府ランキングについて少し踏み込んで分析してみることにしました。