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OSI国別ランキングから見る「デジタル化」

 各指標のうち、中でもOSIが重要そうだと分かりましたので、OSI単体でランキングを作成しました。以下の通りです。

OSIによるランキング
出典「E-Government Survey 2020」

 OSIでは計109のチェック項目を「information about~」「existence of~」「ability to~」の3パターンにまとめています。具体的には「政府の情報にアクセスできる市民の権利に関する情報」「健康にまつわる政策や予算に関する情報」など情報へのアクセス度(information about)、「検索機能の有無」「SNSの有無」「ガイダンスの有無」など機能の存在確認(existence of)、「死亡診断書をオンラインで申請する機能」「運転免許証をオンラインで申請する機能」など申請できる範囲の確認(ability to)です。

 冒頭に紹介したデジタル改革関係閣僚会議の資料「新型コロナウイルス感染症拡大により浮き彫りになったデジタル化への課題」では、オンライン手続きの不具合に言及がありましたが、OSIには「Ability to apply online for social protection(社会保障のオンライン申請が可能)」「Ability to register online for a new business(新規事業のオンライン登録が可能)」などが含まれているので、菅内閣がデジタル化を進めればOSIは上昇を続けるでしょう。

 ただし、繰り返しになりますが、日本は総就学率が低いがゆえにHCIが低く、電子政府ランキングの上位に食い込みにくい状態にあります。とはいえ、今のところデジタル化の成功度、進捗度を比較するのに適した手段は、UNDESAの電子政府ランキング以外はないので、当面、ランキングをうのみにせず、その内容を検証していくことが大事でしょう。

デジタル敗戦したのは国か、企業か

 最後に1つだけ。「日本はデジタル敗戦した」「日本はデジタル後進国」と言いますが、そうなったのは政治の責任、行政の責任だけではありません。民間の責任でもあります。

 新型コロナ感染前のことですが、「東京オリンピックで都内が混雑する」という理由で、テレワークを推進する動きがありました。しかし、多くの企業がテレワークを一定期間のみ実施することを前提にしていたのを忘れてはいけません。ようやくテレワークが浸透してきましたが、いまだに「部長がつかまらないからリモート会議ができない」とか、「ハンコがオフィスにあるから少し待ってほしい」という理由で業務が進まないといった経験をしています。

 確かに菅首相が言うように、行政の縦割りでデジタル化が進まないという面はあるとは思いますが、国の公式サイトや教育、労働、社会サービス、保健、財務、環境など各省のウェブサイトを海外と比較すると、日本の政府は比較的健闘している方ではないでしょうか。

 加えて、全ての処理をデジタル化に寄せるとなると、各家庭や個人で必要なインターネット回線やネットワークに接続するためハードを用意できるのか、何より使い方を誰がレクチャーできるのかというハードとソフトの問題があります。

 60歳、70歳を超えてポケモンGOをやっているシニアもいれば、テレビ番組の録画の仕方も分からないシニアだっておられます。恐らくあと20年はデジタル、非デジタル併用が続くでしょう。

 そうした併用期間を長引かせないためにも、デジタルを学ぶリカレント教育が欠かせません。だからこそUNDESAはHCIを、指標を構成する1つにしたのかもしれません。実はデジタル庁を定着させるには、文部科学政策が重要である……というと、一番驚くのは萩生田光一文部科学大臣かもしれませんね。