支出が減ったのは個人消費

 次は、コロナウイルスが日本経済のどこに打撃を与えているかを見てみます。実質GDPの内訳をみると、今回の急激な落ち込みは主に個人消費に起因していると分かります。ここがリーマン・ショックとは違うところです。リーマン・ショックでは企業の財布のひもが急に締まった結果、個人の財布のひもが固くなり、一気に景気が悪くなったのです。

2020年4~6月期の実質GDP内訳
2020年4~6月期の実質GDP内訳
内閣府「国民経済計算」
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 今回は企業の財布ではなく個人の財布のヒモが先に固くなっています。「家計調査」の実質消費支出の昨年比増減率をみると、19年10月の消費増税から前年割れしていて、さらに20年3月からは新型コロナウイルスによる影響で大きく落ち込みをみせています。20年6月には0%近くまで戻したのですが、7月には再び落ち込みました。まだ公開されていませんが、8月も0%を大きく割り込むのではないでしょうか。

実質消費支出の変化(前年比)
実質消費支出の変化(前年比)
総務省「家計調査」
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 自粛が緩むと消費が元に戻ろうとし、新規感染者が増加すると消費が減る。こうした増減は、いつまで続くのでしょうか。どこかで、このループを断ち切ることはできないのでしょうか。突き詰めて言えば「気分の問題」も多分にあるのですが、その気分こそが景気を左右することは、本連載でも何度も指摘した通りです。ですから、気分の醸成も意外と大事かもしれません。

 これが正解だ、という唯一解はないでしょう。だからこそ議論が必要です。正確なデータも必要です。過去の意思決定プロセスを検証するために議事録も必要です。それなのに議論もデータも議事録もない。いったい、どういうことでしょうか? 私は怒りを覚えます。

 新たに総理になるであろう菅氏に解決が求められる課題は、なかなか厄介です。梶山静六が生きていたら何と言うだろうか……あの時のようにハードランディング路線を主張しただろうかと夢想せずにはいられません。

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