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公的統計データなどを基に語られる“事実”は、うのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。

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 新型コロナウイルスという後の教科書に掲載されるであろう一大事件が起きた2020年。今年ほど「健康の大切さ」が身に染みた年はありません。心身とも健やかに生きる日々が、こんなにも大事だとは思ってもいませんでした。

 「長生き」が至上の価値かどうかは別の議論が必要ですが、「健康で生き続けたい」と願うのは決しておかしなことではありません。そのために健康食品にハマったり、運動にハマったり、内容は人それぞれでしょうが「健康のためにしていること」は誰だって何か1つはあるでしょう。

 日本人の平均寿命は延び続けていますが、公衆衛生の改善、医療環境の充実だけでなく、個人の健康意識の向上も理由の1つにあげられるはずです。

日本人の平均寿命
厚生労働省「生命表」

 さて、「生命表」(厚生労働省)によれば、1947年には50歳代だった平均寿命ですが、その後着実に延び続けています。2020年7月31日に厚生労働省が発表した19年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳と前年に比べそれぞれ0.16歳、0.13歳延びました。

 16年に『LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)という書籍が刊行されたときは「100歳まで生き続けられるかいな」と思っていましたが、このペースでいけば50年ごろには平均寿命100歳も夢ではないかもしれません。

 ちなみに、同じく「生命表」には、各国の平均寿命の年次推移が掲載されていますが、平均寿命は世界的に見ても延び続けています。日本は相対的により寿命は長いですが、日本だけ平均寿命が伸びているわけではないのです。

世界の平均寿命の推移
厚生労働省「生命表」

 ここで1つの疑問が湧きます。「公衆衛生の改善」「医療環境の充実」「個人の健康意識の向上」などの理由で平均寿命が高まったのであれば、1945年以前は多くの人が50歳よりも前に亡くなっていたのでしょうか。そういえば織田信長は「人間五十年」と敦盛を舞っていました。寿命はどの程度短かったのでしょうか。