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既存の指標からは見えない日本の「M字カーブ」問題

 ただし、さらに見方を変えると、日本特有の問題が垣間見えてきます。

 それは日本の労働力率の相対的な低さです。未活用労働指標の国際比較を元に男女別詳細を計算してみると、女性の労働力率は他諸国と比べて低いことが分かります。

男女の労働力率の国際比較

 理由は2つあります。1つは55歳以上の労働力率の低さ、もう1つは25~54歳の「“すぐに就業できないけど就業を希望”している非労働力人口」の多さです。

 女性の年代別労働力率は30代を底にM字カーブを描いており、出産、育児、介護を理由に就業を中断する女性が多くいると推測されます。平成30年労働力調査によれば約93万人にもなるようです。さらに「育児・介護が当たり前で、働くなんて考えもしなかったけど、環境が整えば働いてもいいかな」と考える人たちは、もっと多いはずです。

主要国における女性の年齢階級別労働力率
男女共同参画白書令和元年版
(備考)
1.日本は総務省「労働力調査(基本集計)」(平成30年)、その他の国はILO“ILOSTAT”より作成。フランス、ドイツ、スウェーデン及び米国は平成30(2018)年、韓国は平成29(2017)年の値。
2.労働力率は、「労働力人口(就業者+完全失業者)」/「15歳以上人口」×100。
3.米国の15~19歳の値は、16~19歳の値

 ちなみに平成29年就業構造基本調査によると、介護をして、就業していない人口は約281万人になります。また平成24年10月以降の5年間に介護離職した人は約50万人いて、再び職に就かず、就業も希望していない人たちは20万人程度。就業を希望する人は15万人いますが、20万人の中にも助けを借りられれば再就職したいと思っている人がいるかもしれません。

 既存の指標だけで満足してしまい、意図を持って指標を作らなければ、光が当たらない存在が一定数いることは分かりません。