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世界は「就業・失業統計」のあり方を率直に反省している

 13年10月にILO(国際労働機関)がジュネーブで開催した第19回国際労働統計家会議で、就業・失業統計が労働の世界を表現しきれていない、生活の水準や安寧に対する影響に光を当てていないという反省が率直に語られました。

 日本の労働環境に目を向けるとブラック労働問題、過労死問題、外国人労働者不当労働問題、残業代未払い問題、派遣雇い止め問題……あげればキリがありません。こうした問題にどうすれば数字で光を当て、かつ改善できるかが世界の話題の「中心」となっています。

 失業率が低いのは良いことです。しかし、それだけで事足れりと満足してよいのでしょうか。安倍首相は「働きたい人は仕事がある」と胸を張りますが、働き口の確保だけを優先してしまうと、ブラック労働問題を許しかねません。誰かが「ブラック企業で働くぐらいなら失業した方がよい」と言うべきだし、失業率と合わせてブラック企業の摘発件数や過労死人数を統計指標としてより強く発信すべきだと私は思います。

 ちなみに「失業率が下がると犯罪発生率が低下する」と主張する人たちがいます。この説は、警察白書にも何度か登場しているので、広く浸透しているかもしれません。

 しかし大阪大学・大竹文雄教授の論文では、失業率の上昇より貧困率の上昇が犯罪発生率を高める影響が大きいことを実証分析で明らかにしています。この結果を読む限り、必ずしも「失業率と犯罪発生率の関係性」が密接とは言い切れず、実際はもう少しデータによる検証が必要だと考えます。