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 ちなみに、この増加傾向については「技能実習生が増加しており、失踪率は2~3%の範囲内で収まっている」と説明する人もいますが、国が「分母は増やす」と言っている以上、率を下げないと失踪者自体は増加する一方です。新型コロナ禍の中、当面、新規の実習生が増えることはないでしょうが、すでに40万人を超える人たちが実習生として働いています。そして年に1万人近い人たちが失踪するという現実は無視してはいけないでしょう。

技能実習生にも新型コロナ対策を

 失踪者の増加は、今まで重く受け止められなかった問題かもしれませんが、このコロナ禍においては大問題です。皆さんに想像してほしいのです。もし、うち1人でも新型コロナに感染したとします。どうやって適切な検査・治療を受けられるでしょうか? 他人に在留カードを貸与することは違法です。よほどでない限り「在留カードを使って治療を受ける」ことは難しいでしょう。

 社会的弱者へのケアが感染拡大リスクを低減させるために必要なことは、この連載の「新型コロナ第2波に向け社会的弱者のケアを」でも書きました。同じことが、“移民”にも必要だと思います。

 現在、再び感染が広がっていますが、多くは20~30代の若者で、無症状が大半だといわれています。しかし、自覚症状が出たとしても病院にすら怖くて行けない人たちが一定数いることに、もう少し着目してほしいのです。不法滞在者が集まって暮らしている環境はおそらく3密であり、その場所自体がクラスターとなった場合、どうやって発見、根治できるでしょうか。

 こうした状況は失踪した技能実習生を責めるのではなく、そうせざるを得なかった環境をつくった人たち、一定の割合で起こることスルーしている法務省や政治家の皆さん、そして外国人にも活躍を求めた政府の皆さんのそれぞれが「どうすればよいのか」と考えるべき事案だと考えられます。

 例えば、不法滞在者が新型コロナに感染した場合、「感染を隠す」ことにならないように医療費は無償、かつ完治するまで日本に滞在させ、また何らかの罰則が科された後、日本で再び就労できるような支援はできないでしょうか。今は、感染を隠してしまう状況をつくることが怖いと思うのです。