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残るも地獄、帰るも地獄、技能実習生制度の問題

 「働きやすさ」には様々な観点があるでしょうが、少なくとも「低賃金」「長期労働」の職場ではありません。しかし、実際にそうした職場で働かされていたのが外国人技能実習生です。

 法務省が18年に公開した「失踪技能実習生の現状」と題したリポートには、不法残留などの入管難民法違反で検挙された2892人に対して実施した聞き取り調査で、「低賃金」「低賃金(契約賃金以下)」「低賃金(最低賃金以下)」があり、このうちいずれかあるいは複数にチェックしたのは2870人中1929人(67.2%)でした(この調査では当初、これら低賃金による失踪原因を「より高い賃金を求めて」という調査項目にない言葉に言い換えていたとして問題になりました)。また、法務省が18年に発表した「平成29年の『不正行為』について」によれば、299件あった外国人の研修・技能実習にかかわる「不正行為」中、労働時間や賃金不払等によるものは163件(54.5%)と最も多かったのです 。

 この結果を受けて、「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム」が18年に設置され、19年3月に「調査・検討結果報告書」が発表されました。報告書では5218人の失踪技能実習生と4280の実習実施機関に調査を行い、客観的な資料が手に入った3560人中721人(重複含め延べ893人分)に不正行為が認められました。

類型別に見た失踪技能実習生への不正行為
「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム調査・検討結果報告書」(法務省)

 客観的な資料が手に入ったもので、この状態ですから、資料が手に入らなかった(資料すらない?) 1658人が働いていた環境はより過酷なものだったのではないかと思うのは、私だけでしょうか。ちなみに、「協力を拒まれたため調査を行うことができなかった(113機関155人分)」「倒産、所在不明等により、調査を行うことができなかった(270機関320人分)」との記載もあり、闇の深さを感じずにいられません。

 技能実習生の失踪は年々増加しており、14年には4847人でしたが4年後の18年には9052人と2倍近くまで増えています。

 技能実習生には、日本に中長期間在留する外国人に対して交付される在留カードが渡されますが、失踪した時点で失効します。そうなると、実習生は「不法滞在者」となってしまいます。「不法滞在者=見つかったら本国送還」です。ちなみに日本における不法滞在者は19年1月1日時点で計7万4167人と分かっています。

在留技能実習生+新規技能実習生の合計人数に占める失踪技能実習生数の割合の推移
「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム調査・検討結果報告書」(法務省)