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知られていない移民大国「日本」の実態

 世界各国の「移民」に関する指標と比べてみると、日本がどのような位置付けにあるかが分かります。OECDの「International Migration Outlook 2019」によれば、17年の外国人流入数で日本は第4位にランクインしています。その順位の高さにちょっと驚きます。

各国の外国人流入数(2017年)
OECDデータベース

 ただし、「流入数」は「フロー」であり、「ストック」を意味していません。また伝統的な移民国家として知られるオーストラリア(11位)、カナダ(9位)、ロシア(対象外)が日本より下にランクしている結果は、どうにも解せません。これらの国の「流入数」は、各国統計のうちどのデータを参照しているのか細かい記述が見当たらないのですが、おそらく日本で言うところの「永住のみ」を対象にしているのではないか、と推察します。

 そこで今度は国連による移民データに目を向けます。それぞれフローとストックが用意されていました。「The 2019 Revision of World Population Prospects」ではフローが分かります。15~20年の5年間の推計値で純移民流入数(自国への移民流入数から外国への移民流出数を差し引いた人数)は以下の通りと分かりました。この図で見ると日本は16位、先進国に限れば(ロシアを含めなければ)7位となります。

国別の純移民流入数(2015~20年)
国連「The 2019 Revision of World Population Prospects」、単位:千人

 米国やドイツを基準にすると低く感じますが、先進国第7位は「思っているより高い順位」ではないでしょうか。

 さらに「International Migrant Stock 2019」ではストックが分かります。19年におけるinternational migrant(自国に住む外国生まれの居住者もしくは外国籍の居住者の推計人口)は以下の通りです。これを見ると日本は26位、先進国に限れば(ロシアを含めなければ)10位となります。

国別の移民人口
国連「International Migrant Stock 2019」、単位:千人

 どうやら、日本のニュースの多くはOECDのデータを参照しているようですが、より実態に近いのは国連のデータではないかと思います。

 そして、米国、英国、オーストラリア、カナダのような代表的な先進国における移民国家と違い、日本が先進国の中で新興の「移民国家」として顔をのぞかせているのは、相対的な順位からしても間違いありません。

 すなわち、入管法改正で「移民か」「移民ではないか」と議論するよりも、早急に「増え続ける外国人にとって、働きやすい日本であるためにどうするか」について議論が必要なのです。