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公的統計データなどを基に語られる“事実”は、うのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。

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 第2次安倍政権の発足以降、政府は女性活躍、さらに一億総活躍と皆に「活躍」を求めてきました。

 意地の悪い表現をすると、要は「新たな労働力の確保」だと筆者は解釈しています。もっとも「働きたいけど働けない」「希望の働き方ができない」人たちは大勢いるわけですから、そうした方々にとって「働きやすさ」を推進する施策は決して悪いことではありません。

 実際、各年代の人口に対する労働力人口の比率を見てみると、2013~15年ごろから上昇傾向が見られます。とはいえ、1人当たりの年収は増えたのかとか、非正規雇用が増えているとか、様々なつっこみポイントがあるのかもしれませんが……。

年齢階級別の労働力人口比率
「労働力調査」(総務省統計局)

 一方、農業や漁業、製造業、サービス業など、まだまだ労働力不足が著しい産業・業種もあります。そこで政府は、日本国民だけでなく外国人にも活躍を求めて18年に出入国管理法を改正しました。具体的には外国人の受け入れ政策を見直し、その人数を増やそうという政策です。

 もっとも、日本でより多くの外国人に働き手となってもらうなら、それは実質的には「移民」の推進ではないか、と筆者は感じます。実際、入管法改正時にこのことが国会で大きな論戦を巻き起こしました。しかし、安倍首相は一貫して「移民政策ではない」と否定しています。

 政府としての定義でありますが、今回の受け入れは移民政策には当たらない。そして、移民政策とはどういう政策であるかということでございますが、例えば、国民の人口に比して一定程度の割合で外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策、そういう政策は取らないということでございます。

第196回国会 国家基本政策委員会合同審査会(平成30年6月27日)

 この法改正で新たに受け入れることになるのはざっくりと言えば、「日本に永住しない外国人」です。しかし、それは「移民」と何がどう違うのでしょうか。世界中に新型コロナウイルスがまん延した現在、こうした政策でどのような潜在的デメリットが生まれたのかを改めて振り返ってみることにします。