だからといって、景気動向指数が信用できないと切り捨てるのは反対です。そもそも人によって判断される月例経済報告と、機械的に判断される景気動向指数に基づく基調判断は、それぞれメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
人による判断 | データ範囲外の異常に気付ける | 主観的な判断でバイアスにまみれる可能性がある |
機械的な判断 | 自動的な判断により主観性が排除される | 投入するデータ次第では実態と異なる可能性がある |
景気動向指数なしに、人による判断のデメリットはどこまで防ぎ切れるでしょうか。グループシンクに陥った集団下で、数字を良く見せようとするバイアスが働く可能性が大いにあります。
お互いのデメリットを補うとはいえ、結論が異なればどちらかを間違いと切り捨てるべきではないか、と考える方がいるかもしれません。
しかし、こうした場面は、データサイエンスの現場でよくあります。クライアント先から頂いたデータを分析すると「私はそうは思わない」「肌感とは違っている」とコメントをもらうのです。そういうときは、データ分析の結果と現場の肌感がなぜ違うのかと考えても、良い結果にはなりません。私なら、現場が把握していて、頂いたデータに含まれていないデータは何かを協議します。
つまり議論すべきは「月例経済報告では捉えていて、景気動向指数で捉え切れていないデータは何か」なのです。そして、そのデータを加えれば景気動向指数は改善されるのかを至急計算する必要があります。
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