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 同じ組織から2つのリポートが出され、反対の内容を言っている。どう解釈すればよいのでしょうか。5月14日の参議院財政金融委員会で、麻生太郎財務相は次のように述べています。

 ……基調判断というのはあらかじめ機械的に決められている表現がありますので、あれは、そういった意味では悪化を示しているものになるんだと思います、数字はめていきますと。
 それはそれなりのあれなんですけれども、政府としては、いわゆる月例経済報告というのにおきまして様々な景気指標というのを動きを見させていただいて、その背景を理解した上で景気の基調を判断している…

 景気動向指数に基づく基調判断は「景況感をつかめていない」のでしょうか。あるいは、増税を目指す政府にとって都合の悪いデータから目を背けるグループシンクに陥っているのでしょうか。

景気動向指数では捉え切れていないデータは何か

 基調判断に使われる一致系列は、計9つの統計から成り立ちます(参考:個別系列の概要)。ところが内4つは鉱工業指数、いわば第2次産業の指数です。また前回の連載でデータへの疑義を指摘した有効求人倍率も含まれます。

 日本のGDPのうち第2次産業が占める割合は約25%です。70%強が第3次産業であり、どこまで現在の景況感と一致しているのかという疑問が出てきます。

 ちなみに四半期GDP実質成長率の伸びと、一致系列(19年6月7日公開分)の伸びを94年以降の100の時点を見ると、26の時点で片方が正なのに片方が負の動きを見せました。4回に1回は結果が正反対になる指標って、どこまで信用できるのでしょうか。

GDP成長率と景気動向指数(一致)の比較