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東京と沖縄の労働生産性を比較する

 東洋大学の滝澤美帆教授によって、産業別生産性が求められています。「産業別労働生産性水準の国際比較」によると、日米の産業別生産性は日本がかなり低いようです。米国の生産性水準を100として見た場合、ほとんどの産業で日本は米国を下回っています。この結果をして「やっぱり日本の生産性は低いじゃないか」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。

「日米の産業別生産性(1時間当たり付加価値)と付加価値シェア」。米国の生産性水準を100として見た場合、ほとんどの産業で日本は米国を下回っている。
出所:日本生産性本部「産業別労働生産性水準の国際比較」

 思考実験として都道府県版GDPと言える県民経済計算(内閣府)と国勢調査(総務省)を元に、東京都と沖縄県の産業別労働生産性(県内総生産÷就業者数)を測ってみました。その結果は以下のグラフの通りです。

「東京都と沖縄県の産業別労働生産性」。東京都と沖縄県で、生産性は最大5.34倍(卸売・小売業)もの差がある。
出所:「県民経済計算(内閣府)」と「国勢調査(総務省)」から作図

 東京都と沖縄県で、生産性は最大5.34倍(卸売・小売業)も差が開きました。こんなに差が開くのは当然で、東京都は市場規模が大きいから需要のボリューム(県内総生産)が大きく、また競争も激しくなって効率良く売り上げを挙げられます。この結果、東京都の方が労働生産性は高くなります。

 日米比較も、これと全く同じではないでしょうか。なるほど、確かに労働生産性は上げるべきです。しかし、需要の規模も効率性も違う2つの市場を「付加価値額÷労働者数」で表される指標で比較するのは、どこまで適切なのかは疑問を抱きます。