全2335文字

 前回は「生産性」という指標について紹介しました。

 「諸外国に比べて低い日本の生産性」とは、国民経済生産性(GDP÷就業者数)を指していて、あくまでマクロ的な観点にすぎず、ある1人の仕事の生産性を何ら評価していない(ミクロ的な観点を持たない)点に触れました。

 そして、1人当たりという指標の危うさや、資本生産性を無視した労働生産性改善に警鐘を鳴らし、「生産性向上には同意しても指標が曖昧過ぎて使えない」と主張しました。

 後半に当たる今回は、どうしても指摘しておきたいツッコミ所と、改善点について書きたいと思います。

あらゆる産業の生産性が低いのか?

 「労働生産性が低い」とは言いますが、あらゆる産業がおしなべて低いのでしょうか。そこで、産業別生産性を見てみましょう。以下の通りです。

日本の労働生産性を産業別に見ると、不動産、電気・ガス・水道、情報通信などが上位を占め、サービス業などが下位にあることが分かる。
出所:日本生産性本部「産業別名目労働生産性」

 不動産、電気・ガス・水道、情報通信など資本集約型産業が上位を占めました。一方でサービス業など労働集約型産業が下位を占めています。このように、労働生産性は産業ごとにまちまちです。どの産業にどのくらいの人が携わっているかによって、その国の労働生産性は影響を受けることになります。

 前回紹介した「労働生産性の国際比較」を再掲します。上位のアイルランドやルクセンブルクは米国を上回る労働生産性です。その理由は、主な産業の1つが、労働生産性が高い金融だからです。

OECD加盟諸国の労働生産性。日本の労働生産性はOECD加盟国中21位で、第1位であるアイルランドの約半分。
出所:日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」

 不動産や金融など労働生産性が高い産業の規模が大きければ、それだけ全体の労働生産性は高くなります。国によってどういった産業が勃興しているかは異なりますから、そもそも全体の労働生産性の国外比較に私はあまり意味を見いだせないのです。