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 メールを送った後にそれを伝える電話をかけたり、エクセルで行った作業を目視でチェックしたり、日本は海外と比べて仕事の生産性が低いといわれています。

 昨今の「働き方改革」を踏まえると生産性の向上は不可欠であり、安倍晋三首相は2017年5月に行われた日経ビジネスの独占インタビューで「私が先頭に立って生産性向上への国民運動を展開していきます」と述べています。

 ぜひ生産性の向上を政府からも支援してほしいのですが、数字で可視化し、今がどれくらいか測らなければ「言ったもん勝ち」になりかねません。生産性をどう測ればよいのかと思っていたら、良い本に出合いました。デービッド・アトキンソンさんの書かれた『新・所得倍増論』です。以下、抜粋します。

 「日本は1990年、世界第10位の生産性を誇っていましたが、今では先進国最下位です。労働者ベースで見てもスペインやイタリアより低く、全人口ベースでは世界第27位です」

 なるほど、どうやら生産性はちゃんと測れて、かつ異なる国同士で比較もできる指標のようです。……しかし、本当にそうでしょうか?

労働生産性の定義とは?

 公益財団法人日本生産性本部によると、生産性とは「あるモノをつくるにあたり生産諸要素がどれだけ効果的に使われたかという割合」を表しています。簡単に言えば、アウトプット(産出)をインプット(投入)で割った値が生産性となります。

 生産性は、労働・資本それぞれの立場から測れます。労働の視点であれば生産量や付加価値額を労働者数で割った労働生産性、資本の視点であれば同じく生産量や付加価値額を資本ストック量で割った資本生産性が挙げられます。

 ちなみに、アトキンソンさんが示していた数字は、「国民経済生産性」と呼ばれる労働生産性を国際比較するための指標を参照しています。付加価値は国レベルで考えればGDP(国内総生産)に相当するので「GDP(購買力平価換算)÷就業者数」を国民経済生産性と定義しています(実質的には労働生産性と同義なのでそう名付けている資料もあります)。

 日本生産性本部から「労働生産性の国際比較」という調査研究が毎年発表されていて、2017年は日本の就業者1人当たり労働生産性がOECD加盟国中21位、アイルランドの約半分だと分かります。

日本の就業者1人当たり労働生産性はOECD加盟国中21位で、第1位であるアイルランドの約半分しかない。
出所:日本生産性本部『労働生産性の国際比較2018』