一番重要な死者数が、なかなか「見えない」
厚生労働省の発表で一番気になっていたのは、都道府県別の死者数が「見えない」状態にあったことです。総数は発表されるのですが、都道府県単位については「詳細確認中」とされ、そのため、日に日に地方と国の発表する数字にかい離が出ていたのです。
例えば大阪府では、厚生労働省が発表するデータと、大阪府が発表するデータで以下のような差異が発生していました。それは東京も同様です。
国の集計が遅れているためと思われますが、実際には、後日に突合(とつごう、数字やデータを突き合わせて調べること)作業を終えて正しい時系列データを再集計できているはずです。しかし現状は、再集計した時系列データを新たに公表せずに、突合できた時点で、死者数をその日に追加するだけの状態が続いていました。これでは過去の正しい都道府県別時系列データがどう変化してきたのか分かりません。
特に、4月21日にはその日の全国死者数17人に突合作業の結果確定した死者数74人を足し上げて発表しました。この結果、前日比プラス91人、累計277人死亡となり、がく然としました。前日に74人の方が亡くなられたわけではなく、今まで突合作業中だったため計上していなかった数字を、いきなり「えいや」で計上しただけなのです。
新型コロナウイルスによる死亡者の突合に時間がかかっているのは、筆者は「人手不足」「システム化の遅れ」が原因だと考えています。PCR実施機関と自治体とのやりとり、自治体から国への報告はFAXで行われていると聞いて、さすがに慄然としました。
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