厚生労働省の発表する数字はどこまで信じてよいのか?
さて、ここまで厚生労働省が発表する数字を「正」として扱ってきましたが、その内訳を一つ一つ調べていくと、かなり「変だ」と気づきました。
例えば、感染者の中には1度は陰性と確認されたものの、再び陽性となった人がいます。大阪府で1月29日に1例目の患者として報告された方は、のちの2月26日に再び陽性となったと大阪府のホームページ上で報告されています。
少し余談になりますが、大阪府の場合、当初から感染者に一意な番号を割り振り、監督してきたようです。人数が多かろうと少なかろうと、顔が見える状態で一人一人を監督する姿勢は素晴らしく、「数字で判断できる」のは大阪府など「ちゃんと数字を計測していた自治体に限る」と感じています。
話を戻します。大阪府と違い、厚生労働省の資料では再陽性となった同一人物との記載はなく(1月29日、2月26日)、「その日発表された新たな国内感染者」は実質的に「延べ人数」です。もっとも、4月2日発表の厚生労働省の報道資料には、重複計上を取り除いた事例が記載されており、延べ人数ではなく、実数にしたいことが分かりますが、それがどの程度できているかは精査が必要だと感じています。
他にも、先ほどの7都府県別の感染者数推移(厚生労働省調べ)によると、4月11日に福岡県で感染者108例となっていますが、一方で福岡県ホームページの感染症情報では、4月11日は43例しか報告がありません。
また、4月10日に大阪府で感染者108例と報告がありますが、大阪府ホームページの感染者情報では、4月10日は80例しか報告がありません。
兆候・症例が表れてから、PCR検査を行い、陽性の結果が報告されるまで、平均8日程度要するとされていますが、さらに保健所→都道府県→国と報告が上がるまで時間のタイムラグが生じているようです。
ちなみに厚生労働省が発表する報道資料には「自治体の公表資料の内容が当省の公表基準に合致しない場合には、当省の公表基準に合わせて公表することとしている」と記載されています。つまり、自治体が速報として感染者を発表しても、厚生労働省の公表基準に満たなければ、いるはずの感染者は「いない」ということになるようです。
となると、私たちが毎日のようにチェックしている厚生労働省の数字は、いったい何なのでしょうか。「各自治体から報告が上がった日」ですらないのです。何の数字を見て、政治家や専門家の方々は意思決定を下しているのでしょうか?
私は感染症問題の専門家ではないので分からないのですが、現場と意思決定をする場とで数字がブレていても、意思決定に悪影響を与えないのでしょうか。
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