全5014文字

「テレワーク」統計をなんとかしなければ

 テレワークの実施率は、官民がもっとも注目を寄せる統計であり、様々な機関から提供されています。先述した国土交通省のテレワーク人口実態調査以外にも厚生労働省とLINEによる「新型コロナ対策のための全国調査」共同調査、信頼できる民間機関として東京商工会議所による「新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート」が挙げられます。

 ですが、いずれも数字がバラバラで、戸惑うばかりです。

 4月4日に公開された厚生労働省とLINEの「1回目の全国調査の分析結果」によれば、「仕事はテレワークにしている」と回答したのは5.6%だったそうです。

新型コロナ感染予防のためにしていること(複数回答)
厚生労働省「1回目の全国調査の分析結果」より

 一方で、東京商工会議所の統計によると、26.0%が「テレワークを実施している」と回答しています。

テレワークを実施している企業は26%?
東京商工会議所「新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート」より

 一方で国土交通省のテレワーク人口実態調査によれば、テレワーク実施率は12.5%です。いくらなんでもかい離し過ぎで、どれが正しいのか混乱してしまいます。

 厚生労働省とLINEの共同調査は「就業の有無」を問うていないため、全人口で「5.6%」になっている可能性が高いです。就業者に絞ると10%台にはなるのではないでしょうか。

 また、東京商工会議所の統計は会員企業1万3297社中1333社しか回答しておらず、有効回収率10.0%と極めて低い調査です。残りの90%が同じ傾向を示している可能性は限りなく低く、「テレワークの導入を済ませている企業が答えやすい」回答属性のバイアスが入り込んでいる可能性が高いのです。

 そんな中、数字だけが一人歩きして、各メディアが数字の検証をせずに「テレワークの導入率が5%なんて低すぎる」「4社に1社はテレワークを始めている」などと報道をし、誤解が世間に広まっています。

 いくら非常時とはいえ、統計をおろそかにする国は滅びます。国も民間も統計を公表するなら、有効回収率を高めたり、セグメントをキチンと区切ったり、意味のある統計を作らないと、単なるゴミを作っているのと一緒だと理解してほしいと切に願います。