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どういった企業が「テレワーク」を導入できていないのか?

 注目したいのは「テレワークができる」はずが全然運用できなかった人たち、「テレワークができない」からやむを得ず出社している人たちです。テレワークの導入状況は職種、地域、企業規模で傾向は大きく異なります。内訳を調べれば、制約・制限があってテレワークができない理由が分かります。

 「職種」で言えば、IT系が多い情報通信業であればプログラムを書くエンジニアなどはテレワークで問題ないでしょうが、対面で人と接する業務はテレワークが難しいと考えます。

 業種別に見たテレワーカーの割合は情報通信業が35.8%、学術研究が29.5%と比較的高いのに対して、医療、福祉が8.0%、宿泊業・飲食業が5.4%と圧倒的に低いのです。これらは、対面での対応、接客が必要などの理由で、そもそもテレワークになじまない職種と言えそうです(オンライン診療など対面でなくてできる業務も一部ありますが)。

業種別テレワーカー割合
国土交通省「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」より

 ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、国と東京都が17年から主導して開催している「テレワーク・デイズ」では20年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、一斉にテレワークを実施する日にしようと呼び掛けてきました。

 19年に参加した2887団体の業種上位を見ると、上図の「業種別テレワーカー」の上位にある業種とほぼ同じです。出勤せざるを得ない業種の人たちが一定数いるのです。

 安倍首相は「職場に出勤する場合でも、時差出勤、自転車通勤など、人との交わりを低減する取り組みを今まで以上に強力に推進する」と述べましたが、「いや、私たちの仕事はそういう話じゃなくて、対面が大前提なんだ」と叫びたい人は大勢いるでしょう。

「テレワーク」導入率が低い地方圏

 「地域」で言えば、歴史的な経緯からしてサテライトオフィスやテレワークに理解を示してきた首都圏に比べて地方圏のテレワーク実施率は6.4ポイント少なく、理解および実践に差があるようです。

地域別テレワーカーの割合
国土交通省「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」より

 首都圏であれば「テレワークでいいよ」と言われるような仕事が、地方だと「出社すればいいのに」と言われていそうです。平時であれば構いませんが、防疫の観点からは許容できません。

 21日時点で北海道、福島県、石川県、広島県、沖縄県など地方で感染者数が増えています。絶対数は東京や大阪ほどではないものの、新規感染者数の増加は止まりません。

 今後、地方こそリモートワークが必要なのに「そんなものは都会で十分だと思っていた」で済まされていいのでしょうか。