では、実際にそうした働き方をしているビジネスパーソンは、どれくらいの割合でしょうか。勤務先にテレワークに関する制度が導入されていると回答した割合は以下の通りです。
なんらかの制度などがあるのは19.6%(3万5807人中7014人)でした。つまり5人に4人は、そもそもテレワークに関する制度がないのです。
しかも、制度があるにもかかわらず、実際にテレワークを実施しているのはそのうちの49.9%(7014人中3500人)でした。つまり、組織としてテレワークを進めているのは、たった9.8%(3万5807人中3500人)となります。
ただし調査は19年10月18日~10月23日にかけて行われており、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワークの重要性が高まる前の話です。それでは20年以降、どのように変化したでしょうか。
「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」では、新型コロナウイルスで世間がざわつき始めた20年3月9日~10日にかけて、その時期からおおむね1カ月間ほど前の期間を対象にテレワークの実施状況を調査していました。
注目すべきは、実施度合いの低さです。普段はテレワークをやっていない人(雇用型非テレワーカー)がテレワークを実施したのは7.9%だけでした。そのうち、今回初めて実施したと回答したのは、たった3.9%でした。
特筆すべきは、全体の15.6%が「実施したかったが出来なかった」と回答した点です。理由は色々です。セキュリティーの観点から社内システムにログインできなかった、VPN(仮想私設網)でのログイン数に制限があり回線が奪い合いになっている、自宅のネット回線が遅い、デザイナー向けデスクトップPCのサイズが大きくて持って帰れない…なんて話はよく聞きます。
事態が深刻になった4月現時点でも、社内システムの環境が劇的に良くなっているとは考えられません。
「テレワークができる」のに出社している人たち、「テレワークができる」はずが全然運用できなかった人たち、そして「テレワークができない」からやむを得ず出社している人たちが大半だからこそ、自粛要請にもかかわらず街中に出勤する人の姿が目立つのです。
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