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 公的統計データなどを基に語られる“事実”は、うのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。

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 2020年4月11日、新型コロナウイルス感染症対策本部が開催され、安倍晋三首相は緊急事態宣言対象地域(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)に対して「最低7割、極力8割程度の接触機会の低減を目指す」と述べ、そのために国民へ向けて外出自粛を要請しました。さらに16日には緊急事態宣言の対象を全国に拡大しました。

 ただし「医療機関への通院、食料・医薬品・生活必需品の買い出し、必要な職場への出勤、屋外での運動や散歩など生活の維持のために必要なものは対象とならない」としたため、街には出勤する人の姿が思いのほか、目立ちます。

 「特定都道府県では、まずは在宅勤務(テレワーク)を強力に推進する」と安倍首相は言いますが、果たしてどれほどの企業・人の仕事の進め方が変わったでしょうか。社内ルール、セキュリティー、組織の考え方からして「自分の会社にはテレワークは無理だ」と諦めている人が大半ではないでしょうか。

 そもそも日本におけるテレワークの歴史は、“通勤地獄”の解消を目的に複数の大企業が協力して、埼玉県志木市に設置された「サテライトオフィス」が始まりと言われています。00年にICT(情報通信技術)を使った働き方として「テレワーク」と言い方を変え、第2次安倍政権になってからは「働き方改革の目玉」として取り上げられるようになりました。

 つまり、その歴史的背景からして「大企業向け施策」であり、中小企業は「そんな余裕はない」と後回しにしてきたのが「テレワーク」なのです。

どのくらいの企業が「テレワーク」を導入しているのか?

 国によるテレワークの推進は特定の省庁が受け持つのではなく、テレワーク関係府省連絡会議が設けられ、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房および内閣府が参画しています。

 1つの省庁にまとめてよと思うのですが、その理由は「テレワークに関する府省連携について」に記載された通りです。へりくつの羅列に「よくもそんなことが言えますね」とグレタ・トゥンベリさんになった気分です。

 ただし、各省庁が自身の存在意義を発揮するためか、テレワークに関する統計は多岐にわたります。その中でも総務省「通信利用動向調査」と国土交通省「テレワーク人口実態調査」は統計が充実しています。

 まずは「テレワーク」の認知度を見てみましょう。20年3月に発表された「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」によれば、この4年間で大きく上昇傾向にあります。

「テレワーク」という働き方の認知状況
国土交通省「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」より