その背景として、年齢による差があります。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別・雇用形態別の賃金差は以下の通りです。

正社員・正職員とそれ以外の人の賃金差(小企業)
正社員・正職員とそれ以外の人の賃金差(小企業)
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」より(小企業、単位は千円)
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正社員・正職員とそれ以外の人の賃金差(大企業)
正社員・正職員とそれ以外の人の賃金差(大企業)
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」より(大企業、単位は千円)
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 企業の規模を問わず正社員・正職員でない人たちの賃金推移はほぼ横ばいですが、正社員・正職員の賃金は年齢が高まるにつれて上昇しています。特に企業規模が大きいほど上昇する度合いは大きく、賃金格差は50~54歳で2.3倍まで広がります。

各種手当の違いも格差の要因

 もう1つの背景として、正社員とパートの各種手当の違いが考えられます。厚生労働省の「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」によれば、職務が同じ正社員とパートの手当の格差は以下のようになっています。

 さすがに通勤手当こそ違いませんが、賞与、役職手当、退職金、家族手当や住宅手当で大きな差があるようです。

正社員とパートの各種手当の差
正社員とパートの各種手当の差
厚生労働省「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」より(単位は%)
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 こうした積み重ねが、フルタイム労働者(正社員)とパートタイム労働者(非正社員)の賃金格差として表れていると考えればよいでしょう。

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