1年生の野球部員率が減っているのが気になる

 続いて、各学年の人数を、その年の人口で割ってみて、年齢ごとに「野球部員率」を確認しました。ただし、残念ながら高等学校の各学年の人数が分かる時系列の統計資料が見つかりませんでした。そこでやむなく総務省の「人口推計」を用いて、1年生は15歳、2年生は16歳、3年生は17歳として、それぞれ男性の総人口で割りました。

 中学を卒業してすぐ働きに出ている方もおられるでしょうが、高校進学率(通信制除く)がこの30年、93~96%でほぼ高止まりしているので、そのまま割っています。

学年ごとにみた野球部員率
学年ごとにみた野球部員率
日本高等学校野球連盟ホームページのデータと人口推計(総務省)を基に筆者が算出
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 高校進学率(通信制除く)の数%の違いを除いたとしても、実は06年~08年ごろまでは、一貫して野球部員率は上昇していました。野球部員の「絶対数」が多くの期間で横ばいだったのは、人口の減少によるものだったのです。

 ただし、気になるのは、2年生、3年生の野球部員比率は横ばいなのに、1年生だけ14年ごろから下降していることです。学年別野球部員数(絶対数)のグラフでみた2年生、3年生の減少は、高校生の人口が減っていると説明できそうですが、1年生の減少はそれだけでは説明できない何かが起きているようなのです。

 横浜DeNAベイスターズからポスティングシステムで米大リーグ・レイズへ移籍した筒香嘉智選手は19年に日本外国人特派員協会で記者会見を行い、「野球人口の減少」に対して強い危機感をあらわにしました。

 その場で筒香選手は、勝利至上主義の弊害や野球チームに入った子どもの親の負担が大きすぎること、投手の投球数制限の必要性などについて語っています。また「高校の部活に大きなお金が動いたり、教育の場と言いながらドラマのようなことをつくるようなこともある」と言い、新聞社が高校野球を主催しているので悪いことを伝え切れていないのでは、などと相当踏み込んだ発言をしたと報じられました。

 これまで見てきたデータによると、「少子化を上回る野球人口の減少」がまさに始まっているのです。「選手ファースト」であれば、このような現状を招くでしょうか?

野球人気をしのぐサッカー人気がいよいよ本格的に

 小中学生の頃からプロを目指して野球をしている子どももいるでしょうが、それ以外の層が減っているのではないのでしょうか。

 高校生の部活動として野球が選ばれなくなっている理由に「野球って何か感じ悪いよね」と思われているのではないでしょうか。例えば身なりの強制、練習の厳しさ、勝利至上主義、プライベートの犠牲、総じて「ブラック部活」と呼ばれるような雰囲気……。そこまでのテンションで野球に向き合えない、という子どもは少なくないと私は思います。

 では、彼らはどこに行ってしまったのでしょうか。

 1つは、他の部活に加入している可能性です。公益財団法人全国高等学校体育連盟のデータを見てみましょう。09年以降、男子高校生の部活動に所属する人数の合計(橙色)はグラフのように推移しています。絶対数は減っていますが、15~17歳の人口比(青色)では、むしろ上昇傾向にあります。

男子高校生で部活動に所属している人数と比率
男子高校生で部活動に所属している人数と比率
全国高等学校体育連盟の統計情報を基に作成
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