負の連鎖を断ち切れるのか?

 「不思議な動きをするエンゲル係数」でも紹介した通り、世帯の消費支出は、この20年でそんなに増えていません。収入の上位・中位・下位それぞれ20%層の消費支出は以下のように推移しており、ようやくこの1年で中間層以上は上向き始めたと分かるくらいです。

ほぼ横ばいを続ける消費支出
ほぼ横ばいを続ける消費支出
「家計調査」を基に、12カ月移動平均法を用いて月次データを筆者が加工
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 所得が上がらず一定だと、以下のような地獄のスパイラルが発生する可能性があります。仮説を裏付ける種々のデータが取れているわけでなく、因果関係の立証には至っていないのですが、実態はこうではないかと考えています。

日本が陥っている負のスパイラル
日本が陥っている負のスパイラル
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 人手不足とは言いますが、本当に人手が足りていないなら給料を上げてでも人を募集するでしょう。ある年代を時系列で見て、多くの職種で給料が横ばいなのは、給料を上げたくても上げられない→値上げすると消費者が離れてしまう→値上げできないので、消費者の給料も増えない、という負の連鎖が続いているからではないでしょうか。

 だとすると、どの鎖を断ち切ればよいのでしょうか。費用に上乗せできないけど給料を上げる? それとも費用を価格に転嫁する? いずれも企業側が恐れてなかなか取れない実行策です。

 私たちは今、本当の泥沼に全身が漬かっているのかもしれません。

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