全体の数字だけを見ても実態は分からない

 続いて、男性の25歳~29歳における産業別賃金の違いを出してみました。以下のように推移しています。

産業別に見た賃金の推移(男性20代後半)
産業別に見た賃金の推移(男性20代後半)
単位:千円、「賃金構造基本統計調査」より
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 8業種に限って言えば、下は製造業の23万円台から、上は金融・保険業の28万円台まで、幅は広いです。では年齢層を高めて、45歳~49歳を見てみましょう。

産業別に見た賃金の推移(男性40代後半)
産業別に見た賃金の推移(男性40代後半)
単位:千円、「賃金構造基本統計調査」より
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 下は変わらず製造業で38万円台から、上も変わらず金融・保険業の60万円台までとなり、さらに幅は広くなりました。ちなみに全般に20代後半の層に比べ、40代後半の層の方が、下がり気味です。業種別には医療、福祉の下がり方が大きいです。

 賃金が増えた、横ばいだったという変化を知りたいのであれば、年代や産業を特定した上で、「建設業の20代後半の賃金は11年あたりを底に約2万円増えています」「医療、福祉の40代後半の賃金は04年をピークに約13万円減っています」などと推移を見た方が実態をよく理解できそうです。

 全体だけを眺めていると、個別の層別の違いは埋もれてしまいます。

 海外諸国についても、どの産業の所得が多いか、どの産業に就労者が集中しているかで、全体の傾向は大きく変わるでしょう。とすると、年代固定・産業特定で賃金の増減を見た方が、本当はよいのかもしれません。全体の賃金上昇率がプラスでも、年代別、業種別に見れば、全ての層で賃金が上がっているとはいえないのです。

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