このヒートマップから2つのことが分かります。
1つ目は、感染が収束傾向にあった20年9月ころから一貫して、東京の都心部は赤黒くなっていることです。都心をズームして見てみましょう。
これを見ると、新宿駅周辺、渋谷駅周辺、東京駅(丸の内・八重洲)周辺で一貫して感染報告が集中していることが分かります。内訳を調べてみると、多くはオフィス・事業所での感染報告事例だと分かりました。
新型コロナウイルス感染症対策分科会では「気づかぬうちに、親しい友人や職場の仲間に感染させてしまう」(分科会第19回資料「現在直面する3つの課題」)と報告されています。まさに、自分が感染していると気づかぬうちに出社して職場(事業所や病院、福祉施設など)で感染を広げてしまっていると考えられます。
2つ目は、感染が拡大傾向にある20年11月頃から、徐々に関東平野一円に感染が広がっていることが分かります。特に12月は神奈川県小田原市、同茅ヶ崎市、同横須賀市、千葉市、さいたま市などで大規模な感染が報告されています。
飲食行為が“急所”だとしても、店舗に時短要請を出すだけでなく、感染が広がる原因の“根元”にトドメを刺さなければ、感染は収束に向かわないのではないかと考えます。根元の1つだと考えられるのが「移動」です。
移動自体を制限せざるを得ない
移動に関連して言えば、京都大学大学院の西浦博教授が「人との接触を8割減らす」ことを主張し、“8割おじさん”と呼ばれたことを改めて思い出します。接触機会を減らすことが大事なのは、人と人との接触が少なければ少ないほど、それが人に「うつさない」、人から「かからない」確率を高められるからです。
「移動」が感染拡大の根元の1つとされるのは、接触機会を減らせるからです。人が動くことそのものがリスクなのではありません。リスクとなるのは移動の結果、特定のエリアに人が集中するからです。人が集まる場所に1人でも感染者がいれば、一気に感染が拡大する(=クラスターが発生する)可能性が高まるのです。
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