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社員に伝えた「会社人間になるな」

寺田:「会社人間になるな」という言葉の背景には、「いろいろな社会と接して、多様な知見を得ることが創造性の発揮につながるはずだ」という経営上の戦略があるわけです。社員の創造性を育む環境づくりとして、会社ができることの1つが、副業解禁だと私は思っています。

北野:ちなみに、寺田社長ご自身は、いろんな社会と接点を持っていますか。

寺田:私は非常に多い方だと思います。好奇心が旺盛だから、すぐにいろんな業界の社長に会いに行きます。もともと営業をしていましたから、初対面でもすぐに仲良くなることができる(笑)。どんどんと人と会って話すことが上質なインプットになる。これは身をもって実感しています。

北野:今の流れの中で副業解禁に踏み切るか迷っている経営者も多いと思います。副業解禁に当たって注意していることはありますか。

寺田:働きすぎないためのルール設定はしました。具体的には、副業を認める人の条件を、年間総労働時間1900時間未満の人に限ったんです。

 やはり健康第一です。本業の労働時間は、スケジューラーと一括管理で把握できるようになっていて、副業先の勤怠も報告してもらうようにしています。そうしないと今の法律では、本業と副業を合わせた総労働時間の管理は、個人任せになってしまう。だから危ないんです。

北野:そこまで配慮している会社は珍しいかもしれませんね。今年4月に副業を解禁して、具体的な事例は出ていますか。

寺田:十数人います。この間、ある支店に行ったら、若手社員から「副業を始めました。ありがとうございます」と礼を言われたものだから、「オレに言うなよ」と返しました(笑)。

北野:労働時間の目標変更に伴って、評価の仕組みは変えましたか。

寺田:浮いた残業代を社員に還元するといった施策は実施していません。来年あたりから導入予定なのが労働時間と成果を組み合わせた評価制度です。労働時間を年間1800時間以内に収めた上で、一定以上の評価を得た人はプラスオンをしようと考えています。

北野:まさに生産性に報酬がひも付くわけですね。

寺田:その通りです。加えて、これまで営業職に適用していた裁量労働制もやめました。なぜなら今は、スケジューラーで勤怠管理ができるので、「みなし残業」を考慮する必要がないからです。

 フレックスタイムやテレワークでの勤務も当たり前ですし、移動時間を労働時間に組み込むようにしたりもしています。働く環境やツールの変化に応じて、より実態に合った管理・評価の仕組みをつくっています。

 サテライトオフィスの方が本社よりも空調が効いていて、Wi-Fiの接続スピードが速いそうで、本社の人口密度も減ってきています(笑)。今日も役員がテレワークしています。(対談後編は2019年10月4日公開予定)