「この人だ」と思えるまで探すこと

北野:この連載でもお話ししたんですが、高校時代、自分がやっていた社会活動の評価が一瞬で激変する体験があったんです(詳細は「『天才』の創造性を嫉妬せずに受け入れられる?」)。

 そのせいか、どこかで「人ってそんなもんだよな」と冷静に見る感覚を、自然に身につけていったんだと思います。

 会社を辞めて米国に行ったときも、最初は全然英語が話せなくてゴミのような扱いをされたんです。けれど必死に現地で交渉して、ネットワークをつくって英語をしゃべれるようになった後は、まるで世界が変わりました。

山口:自力で突破したんですね。

北野:山口さんに比べれば、700分の1くらいの突破力ですよ(笑)。

山口:何で700という数字なのか分からないけど(笑)、私も「突破している」という感覚はないんです。でも「できるまでやる」という粘り強さはあるかもしれない。やり続けていると、いつかチャンスが降ってくるんですよね。

北野:例えば「次はこの国のこの地域でこういうものを作ろう」という判断は、直感ですぐに決まるんですか。

山口:それはかなり地道に聞き取りをしていくんです。その土地ならではの技術や素材があるという情報を得たら、「こういうものづくりができる職人を知りませんか」と人づてに聞いて回る。

 そして、ついに職人が見つかったら、根をつめて話し合って、互いに納得するゴールを探り当てる。大体、1年や2年はかけて準備しています。パッと道が開けるわけではないんです。

北野:国内外で38店舗を展開するブランド力を備えた今でも、そうやっているんですか。

山口:やっていますよ。本当に出会いたい人には、簡単に出会えませんし、見つかるまでは、ひたすら探していくしかありません。

北野:重要なビジネスパートナーを決めるときのポイントは何ですか。

山口:「この人だ」と思えるまで探すしかありません。出会いは確率論でしかないと思っていて、主力のバングラの工場長と出会えたのは、260人目の面接でした。

 大体みんな、20人くらい会うと諦めちゃうでしょ。全然足りないと思います。せめて200人は会おうよ、と言いたいです(笑)。

 でも結局は、一緒に働いてみないと分からない。人の採用も難しいですよね。北野さんは、面接でどういうところを見ているんですか。

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