直感や感性と経営のカンケイ

山口:本当はいくつも技術を持てるといいですよね。書く技術、歌う技術、人前で堂々と話せる技術、とか。私は作る技術しかないんです。だから社員に向けて、自分の方針を言葉で説明するのも本当に苦手で、副社長の山崎にうまく翻訳してもらっています(笑)。

北野:そうやって補い合うコンビネーションを設計することも重要ですよね。

山口:心からそう思います。私の意思決定だと、店舗の場所選びも「ここがいい。なんとなくいい。匂いがいいし、気持ちいい風が吹き抜けそうだから」とかすごく感覚的になってしまうから(笑)。途上国の土地の匂いを嗅ぐだけでスイッチ入るし。多分、基本的に動物なんです、私(笑)。

北野:それは聞いたことないです(笑)。でも直感や感性が重要な時代になるといわれていますよね。

山口:「直感とは何か」って大きなテーマですよね。直感は経験の積み重ねであるとも言えるし。

北野:今の話を聞いて改めて思ったのは、山口さんはかなり、動物的な本能や生命力が強いタイプなんだろうな、ということです。

山口:強いですよ。柔道やっていたし、五感のアンテナは途上国で鍛えられました。だって普段から「洪水が来そうだな」とか「このリキシャ(人力三輪車)は乗って大丈夫か」と、瞬時に判断しないといけないから。原始的な能力って、現代のビジネスに結構、生きるんだと思います。

北野:僕も割と直感がさえるタイプですが、やっぱり小さい頃に病弱で幼稚園にもあまり通えなかった時期があって、生命に危機を及ぼしそうなリスクには、すごく敏感に気づくようになりました。

山口:敏感になりますよね。弱さへの共感も生まれると思う。

北野:山口さんは動物的な直感も働かせながら、冷静に大局観をもって経営判断を下していますよね。僕も時々、「どうしてそんなふうに世の中を俯瞰(ふかん)できるの」と聞かれることがあって。

山口:どうしてですか。

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