優しさは「自分ごとにする」

山口:うーん、そうだな。私にとって優しさは「自分ごとにする」という姿勢だと思う。
北野:「自分ごとにする」
山口:「仲間はどう思うだろうか」って、常に想像しながら意思決定しています。時に相手に乗り移るかというくらい自分ごととして考えすぎることも。
今回、初めて私の名前の頭文字を冠したブランド「e.(イードット)」を立ち上げました。
それはデザイナーにとっては覚悟であると同時に、喜びや誇りであるはずなんだけれど、私はまず、「製品を作るインドの職人さんはどう感じるかな」と考えるんです。
「オレが作っているんだから、オレの名前を入れたいくらいだぜ」と思わないかなって。そういう葛藤を乗り越えて覚悟を決めたわけですが、何か決めごとをするときには、関わる仲間の顔を想像するクセはあります。
マザーハウスのものづくりの最初の一歩も、「自分ごとにする」から始まりました。
バングラデシュで昔から栽培されているジュート(黄麻)を見たとき、それがこの土地だからこそ得られた恵みだと知って、「この素材をもっと輝かせたい!」という思いが湧いたんです。
コーヒー豆や農作物を入れる袋くらいにしか加工されていなかった素材で、バッグを作ってみせようって。現地のベンガル人以上に強い思いで、完全に自分ごとにしていました。
(対談の中編は2019年9月13日公開予定)
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