ビジネスパーソンに必要な「面白がれる力」

藤吉:「面白がれる力」は大事だと思いますね。一見つまらなそうなことでも、面白そうなことがあるんじゃないかと貪欲に探せる才能。

北野:だから藤吉さんは、他人がみんな天才に見えるんですね。「面白がる力」は、事象の面白さを発掘するという意味のほかに、人材の成長という面でも重要な気がします。

 東京大学名誉教授の早野龍五先生がおっしゃっていました。「優秀な東大生の中でも、その後に活躍するかどうかを分けるのは、『楽しそうにやるか』の差だ」と。周りから見て楽しそうにやっていると、どんどんチャンスが巡ってくる。僕も仕事をアサインする側の人間として実感が持てました。

藤吉:面白がると、仕事の対象も無限に広がっていくし、人と違った記事が書ける。取材をお願いすると、「え、私がなぜフォーブスに?」と思われるケースが多い。

 例えば、女優の萬田久子さんのインタビューを通じて、亡き夫・佐々木力さんとユニクロの柳井正さんの交流から見える、知られざる人間臭い一面を書いた記事。あるいは米メジャーリーグのサンディエゴ・パドレスの球団フロントに入った斎藤隆投手にメジャーリーグから学ぶ組織運営について書いた記事。

 極端に言えば「そこに人間の営みがある限り、どんな事象も経済記事になる」と思っています。

北野:「面白がる力」は上司の資質としても大切な気がします。多角的な視点で評価する上司の下では、部下も思い切って動ける。ある種の心理的安全性が保たれますよね。

 もし藤吉さんが組織のCHRO(最高人事責任者)だとしたら、どんなアクションを取りますか。

藤吉:昔からよく言っていたのは「希望の役職をもらえるなら、CPOがいい」。CPOとは「チーフ・プラプラ・オフィサー」です(笑)。

 実際、昭和の頃のオフィスにはいたんです。社内をひたすらプラプラ歩いて、「最近、どう」「どんな仕事してんの」と若手にちょっかいを出す暇そうなおじさんが。

 効率主義が進んだ今の時代にはほぼ見られなくなりましたが、このプラプラは、実はすごく重要だと思っています。要は社員一人ひとりに関心を持って才能を発見したり、配分したりする仕事なんです。若い才能を殺さないために、チーフ・プラプラ・オフィサーは大事ではないかと思いますね。

 あと、ダイバーシティーですね。縄文時代の遺跡を分析すると、一つの家の中に小さい子どもや障がい者、高齢者といった多様な弱者が交ざり合って、家族のコミュニティーを形成していたそうで、これが縄文文化に発展していったという説があります。

 みんなで助け合う文化は、才能を育てる上でもカギになると思っています。先ほど触れた「危機対応で役割が明確になる」のと同じ論理で、才能が開花するきっかけになりますから。

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