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物語の主人公として、自分の人生を生きよ

北野:人は誰でも偉大な物語の中に生きていると僕は思っています。そして今、自分は「人生」という1冊の分厚い本の中の、どのページを歩いているのか。その章のタイトルは何か。そして、いつか最後に本を閉じるであろう瞬間に、目に入る本のタイトルは何なのか。

 「物語の主人公として、自分の人生を生きた方がいい」という考えと近いような気がします。

田中:どちらも自己に対するメタ認知であり、同じですね。

北野:そしてその認知の仕方も、自分の解釈によってポジティブに変えられる。

 例えば、人生のある期間を子育てに費やした人が、あとからその時期を振り返って「子育てで忙しくて何もできなかった」と語るのか、「愛のために生きた」と語るのか。それで人生の価値は全く変わりますよね。

 物語の価値付けができたとき、人は自分の可能性をもっと信じられると思うんです。

田中:物語を駆動させるのは、「問いかけの力」なのかもしれません。

 実はミドル・シニア層が一瞬で輝きを取り戻すのは、自分の子どもたちに対して仕事について語るときなんです。「パパ、どんな仕事をしてきたの」と子どもに問いかけられると、一気にその人のキャリアに「物語性」が宿ります。

北野:なんかジンとしますね。

田中:そして、その問いかけは、誰からされるのかが大事なんだと思います。質問する相手に最適化した答えを導こうとするでしょうから。

 「自分の仕事はこんなに世の中のためになっている」と感じてもらうには、世の中からどんどんと問いかけられることが大切です。

北野:才能を輝かせるのが「物語の力」であり、その力を引き出すのは「適切な問いかけ」である。とても勉強になりました。ありがとうございました。