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自分を見つめることの効用

北野:これは全世代に共通して聞きたいのですが、個人が自分の才能を育てるためにやった方がいい行動や習慣はありますか。

 僕がよく伝えているのは、「本当に新しいものを生み出したいときには、周りの声を聞かない方がいい」ということです。ただし生み出したものを広げるには、たくさんの人の力が必要になる。イメージとしては、原液は自分一人で作って、カクテルはみんなの力で作る。これです。

 あと、自分の2.5歩先を進んでいるような先輩たちに、積極的に会いにいくこと。10歩先だと遠過ぎるから、背伸びしたら何とか届くかもしれない、くらいの人から学ぶのが参考になる気がします。

田中:僕がオススメするのは「振り返りの習慣」です。自分で自分を見つめる時間をこまめにつくること。今日一日の出来事を振り返ることは、簡単なことのようであまりできていないですよね。

北野:振り返る習慣が、自己成長につながるということですね。

田中:人材育成で有名なある大手メーカーで、新人育成に定評のあるマネジャーにヒアリングしたとき、「自分の中に鏡を持てるような社員を育てている」と言っていたのが印象的でした。「鏡を持つ」とは、自分で自分を的確に見つめられる、ということです。

 具体的な手法はいたってシンプル。営業から戻ってきた部下に「今日はどうだった」と問う。たったこれだけなんだそうです。

 すると最初は、「こういうお客さんにこんな提案をして、こういう反応でした」と、長くても5分程度しか答えられないそうです。けれど、「もっと詳しく、細かく話せるようになって」と伝えて、また次の日も「今日はどうだった」と聞く。するとそのうち、説明のボリュームが10分、15分と長くなって、繰り返していくうちに、止まらなくなるほど長くなるそうです。

 自分自身の行動やそのときに何を考えていたかということを、解像度高く語れるようになると、勝手に営業成績も上がっていく。自分を正確にモニタリングできると、軌道修正も目標設定も自然とできるようになる、と言うんです。