物理的な動きが伝える組織の活性度

為末:仮にこれまではカーペットだったとしても、ある日突然、石に変わる可能性もある。カーペットであり続けられるかどうかは、自分や会社だけでなく、世界情勢も大きく影響することを忘れてはいけません。

北野:地方によっては、雇用を守ることが第一だったりするので、一概には言えないですが。本当はもっと早く別の場所に行ったほうがラクになるはずの人が、ただ惰性で長く居続ける、というのは不健康だと思いますね。

為末:1つの組織の中にも、いくつかのレイヤーがある気がします。

 粛々と仕事に取り組む会計の担当者と、マーケットを見る担当者では、最適な入れ替わりのリズムは多分違いますよね。ピッチャーとキャッチャーを一律で考えないほうがいいのと同じで。

北野:おっしゃる通りですね。では、組織が才能を殺しかねないバッドアクションとして浮かぶものは何でしょう。

為末:いろんな会社を訪問して気になるのは“動き”かな。物理的な動きが少ない会社は、活性度が低いように見えます。

北野:動き、ですか。もう少し詳しく教えてください。

為末:『流れとかたち』(紀伊國屋書店)という熱力学の本がとても面白かったんです。「なぜ宇宙から見た地球の河川の形と、肺の静脈の形は似ているのか」という問いから始まるんですが、要はある地点からある方向にモノが流れるときに形が決定されていくのだと書かれている。

 そもそも生物は、光を求めてうごめいたところを原始として海に海流を生み、その海流がプランクトンをかき回して新たな生命を生み出し……。流れを生む動きがある世界こそ、何かを生み出せる環境なのだと、腑(ふ)に落ちたんです。会社の組織も淀みなく動いているほうがいいと思いますね。

 その流れも、一方的な秩序だった流れより、多方向なカオス的な流れがあって、「明日は何が起きるか分からないね」とみんなが思っているような場所のほうが、ワクワクと楽しめる気がします。少なくとも僕はそういうタイプです。

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