外交官として主にアジア外交に長年携わってきた小原雅博氏(現・東京大学法学部大学院教授)が、激しさを増す米中貿易摩擦の背景や今後について解説する。米中の争いはもはや貿易問題にとどまらず、軍事やイデオロギーを巡る「新冷戦」の様相を帯び始めたと指摘する小原氏。異なる文明を持つ米中は互いに分かり合う関係になれるのか。5月15日に中国が開いた習近平国家主席肝いりの「アジア文明対話」を起点に新たな国際秩序の姿を探る。(写真:shutterstock)
シリーズ
米中「新冷戦」と中国の対抗戦略

完結
5回
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パワー・シフト時代、中国は普遍的価値を提示できるか
国際秩序は力の体系であり、価値の体系でもある。アジアの秩序がパワー・シフトによって変化していくとすれば、変化の先にある新秩序を支える価値とは何であろうか。そもそも、国際秩序の要素となる普遍的価値がアジアに存在するのだろう…
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国際秩序維持のためのWTO改革と中国の役割とは
中国が「トゥキディデスの罠(わな)」や「新冷戦」を回避するにはどうするべきか。その一つの手立てがWTO改革に積極的に協力することだ。
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激化する米中対立、互いに譲れない理由がある
米国の対中強硬政策への急激なシフトには理由がある。そして、そんな米国に徹底抗戦しなければならない理由も中国にはある。
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習近平氏の「文明の対話」と米国で復権する「文明の衝突」
習近平国家主席が「アジア文明対話」の基調演説で何度も強調したフレーズがある。「文明の対話」。私は、その言葉の背後に、「文明の衝突」論へのけん制が込められていると感じた。
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習近平氏肝いりの「アジア文明対話」 その意味を考える
中国が5月15日に開いた「アジア文明対話」。習近平国家主席肝いりの一大イベントはなぜ開かれたのか。その背景と意味を考える。
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
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全8回