全5199文字

松本氏:成功体験の問題は大きいよね。

和田氏:だからこそ仮想通貨に比較的若い人たちが集まったんじゃないでしょうか。価格が上がっていく中で、若い人の中にも成功体験が生まれた。ちなみにマネックス証券が登場したときはどのように顧客から受け入れられたんですか?

松本氏:そもそもマネックスグループを創業した頃は、まだインターネットの黎明期。インターネットに接続しても実は何もやることがなかった。当時、「逸品.com」という人気のEC(電子商取引)サイトがあったんだけど、アクセスすると商品数が20くらいしかない(笑)。

和田氏:20ですか?(笑)

松本氏:そうそう。通信速度は遅いし、商品数も少ない。そもそも、インターネット上にコンテンツが全然なかった時代。そんなところに3000銘柄の値動きが見えて売買できるオンライン証券が登場したもんだから、それまで株に興味がなかった人までオンライントレーディングの世界に引き込まれた。

 仮想通貨も恐らく中身うんぬん以前に、新しい体験として受け入れられたんじゃないかな。だからこそ一気に人が集まった。

和田氏:仮想通貨に最初に触れたのはいつですか?

松本氏:2013年頃に初めて仮想通貨に触れた。香港・ザポ(Xapo)の創業者のウェンセス・キャサレス氏とは古い友人で、東京・渋谷にビットコイン保有者がいるから会ってきてくれとお願いがきたのがきっかけ。彼らに会ってみると、仮想通貨そのものが怪しいというよりは仮想通貨について熱く語る人たちが怪しかった(笑)。

 早速、マネックスグループでも検証のためにビットコインを持ってみて、ブロックチェーンの動きを確認したりした。

和田氏:その頃のビットコインはまだ残っているんですか?

松本氏:いや、全部検証が終わったから売っちゃった。そういう意味ではすごい後悔がある。まだ業界の誰も興味を示していない時期に仮想通貨に触れていたにもかかわらず、放っておいてしまった後悔が。

 2017年の春くらいから、仮想通貨の相場が熱を帯び始め、仮想通貨で資金調達する「ICO(Initial Coin Offering)」も盛り上がってきた。金融オタクとしては「ネオキャピタルマーケットだ!」と思って、いてもたってもいられなくなった。

 会社で「仮想通貨部」を立ち上げて、自分で秋葉原にパーツを買いに行ってマイニングマシンを作った。本もたくさん読んだ。これは変わる、いやもう変わり始めちゃっていると思って。もっと早く仮想通貨やICOに関わっていかなければならなかったのに、1年も後れをとってしまっていた。

 思いは日々募っていって、仮想通貨やブロックチェーンに真剣に取り組んでいく覚悟を決めた。そして組織変更と同時に2017年10月、「第二の創業」をミッションステートメントとして打ち出した。ボードメンバーには事前に説明したけど、あれはみんなで話し合って作ったプランではなく、沸き起こる自分の思いをぶつけた宣言だった。

 和田くん、「第二の創業」のステートメント読んだ?

和田氏:ごめんなさい、読んでません(苦笑)