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転職前提で働く新卒社員にどう接する?

村上:リンクトインでは友達のスキルを推薦することもできる。「この人、マネジャーとしてすごいよね」と思っていたら、プラスを押すと、そのスキルが可視化されるんです。

 友人や知人、同僚同士で、互いにスキルを推薦し合ってみても面白い。「俺あると思う?」「あるんじゃない」という会話を重ねたりしながら。

麻野:学生の意識も変わってきましたよね。私は、(組織・人材コンサルティングの)リンクアンドモチベーションで取締役をしていますが、最近の新入社員は面談などで「私が“ファーストキャリアとして”リンクアンドモチベーションを選んだ理由は」とみんなの前で堂々と話します。

 彼ら彼女らの発言を聞いていると、そこまで価値観は変わってきているのだなと肌身で感じますし、「ファーストキャリアに選んでくれてありがとう」とも思っています。

 もちろん、経営側としては多少複雑でもあります。「そうか、“ファーストキャリア”だからいつかは転職するのだろうな」と思いますし。ただ、だからこそ一緒に働いている間は、「最初の会社がここで良かったな」と思ってもらえるように頑張りたいとも感じています。経営側がそう思えるように変わらないといけないんです。

村上:僕が就職活動をしていた当時、「多分、5年くらいで次の会社に移ると思いますが、在籍している間は必死で働きます」と言ったら、とても驚かれました。結局はそう言って、入社10カ月で辞めたんですけど(笑)。

麻野:転職を前提にキャリアを考える若手、それは裏切り行為と捉える中堅以上の世代。この意識のギャップによって、大手企業でも若手社員の離職が増えている。そこに問題意識を持つ企業が増えていますね。

村上:「第二新卒」という存在がマーケットとして成立するくらい、新入社員が辞めているわけです。新入社員の半分くらいが入社3年以内に辞めて、次の会社を探しているわけですから。

麻野:新入社員は「私はこの会社でどういう風に成長できますか」「この仕事は私にとってどんな意味がありますか」という意識で働いています。一方で、彼らを教育する上司や先輩は、「まず君たちは文句を言わず、我慢して目の前の仕事をやればいい。するとやがて会社が良くしてくれるから」という雰囲気で接してくる。このギャップは深いですよね。

村上:マネジャー側のスキル開発が急務だと思います。40~50代はちょうど、昭和の価値観と令和価値観の間に挟まれていて、昭和時代の文化は残っているけれど、変わらないといけないとも分かっている。その上の世代のように定年退職まで逃げ切ることも難しいわけです。