令和という新しい時代に突入し、企業と個人の結びつきが大きく変わろうとしている。特に最近、多くのビジネスパーソンにとって印象的だったのが、トヨタ自動車の豊田章男社長の発言ではないだろうか。「終身雇用を守っていくのが難しい局面に入ってきた」――。経団連の中西宏明会長も、終身雇用について「制度疲労を起こしている」と語った。戦後の経済発展を支えてきた日本企業が、相次いで「終身雇用」という仕組みが続かないと明かしたのだ。昭和と平成を貫いてきた企業と個人の関係が曲がり角を迎えている。その先にある新しいカンケイとは。
本連載では、国内最大級の社員クチコミサイト「OpenWork(オープンワーク)」を運営するオープンワークの副社長や、組織・人材コンサルティング会社リンクアンドモチベーションの取締役を務める麻野耕司氏が、令和時代の新しい企業と個人の関係について解説する。連載7回目からは、ビジネスSNS(交流サイト)「LinkedIn(リンクトイン)」の日本代表・村上臣氏が登場。日本では令和の時代に入って、ようやく企業と個人の関係が大きく変わろうとしている。本連載の最終回となる8回目は、日本の企業に根強く残る中堅以上の社員と、新卒社員の価値観のギャップについて。転職することを前提に“ファーストキャリア”として最初に働く企業を選ぶ学生を、あなたは応援できていますか。
(聞き手/日経ビジネス編集部 日野なおみ)

麻野氏(以下、麻野):本連載「令和に激変!企業と個人のオープンなカンケイ」では、「終身雇用」「年功序列」「新卒一括採用」といった昭和の時代の、企業と個人の関係が、変わりつつあると解説してきました。
対談の前編(「リンクトインが提案!『転職=裏切り』の思考法、もうやめませんか?」)では、ビジネスSNS(交流サイト)「LinkedIn(リンクトイン)」日本代表の村上(臣)さんからご覧になった日本の状況がどうなのかについて、ご意見を伺いました。
企業と個人の関係が大きく変わっている中で、ビジネスパーソン一人ひとりが考え方を変えていかなくてはなりません。どのような意識改革が必要でしょう。
村上氏(以下、村上):キャリアのオーナーシップの問題だと思います。今まで日本のビジネスパーソンは、会社の言うことを聞いていればある程度、成長が約束されていました。管理職研修などもありましたし、転勤もありました。 「君は来月から大阪赴任だ。その代わり戻ってきたら昇進だ」というカルチャーだったわけです。
そうやって会社は、社員が幹部になるまでのキャリアパスをつくって、必要なスキルを学ばせてきました。ジョブローテーションにも熱心で、先ほどの例だと、大阪赴任から戻ってきたらこの部署を任せられる、とか。
個人がそれぞれ自分のキャリアについて考えなくても、会社の言うことさえ聞いていれば定年まである程度、成長することができたわけです。
けれど、そろそろ自分でキャリアの棚卸しをしていかなくてはなりません。自分が今までどんなスキルを培い、どのような経験をしてきたのか。リンクトインのプロフィルを作成する作業は、それぞれの人にとってもいい棚卸しの機会になるはずです。
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