個人のSNS情報発信を禁じる企業の末路

村上:リンクトインにしろフェイスブックにしろ、今ではビジネスパーソンに欠かすことのできない存在です。それなのに、日本では今でも、企業が社員にSNSへの投稿を禁止しているケースがあります。

 金融機関や報道機関など、情報の秘匿性が求められる業界などでは、限られた人を除けば、社員がSNSで仕事の情報などを発信することができません。

麻野:企業側の意識も変えないといけませんよね。終身雇用は崩壊しつつあるのに、一部の企業では今なお、リンクトインなどのSNSを禁止して、社員が次のキャリアに踏み出す機会を与えようとはしません。

 個人のキャリアや過去の実績・経歴をオープンにして、いろいろな機会を得る権利を制限しながら、定年まで守らないというのはめちゃくちゃな話です。

 どちらかの姿勢を貫くならまだ理解はできます。「定年まで守るから、SNSで情報発信する必要はない。うちで働き続けてくれ。そもそも会社を通じて機会を得ているのだから、その恩恵は会社に還元すべきだろう」という考え方だって、あることは理解できます。

 ただ「社員が個人で勝手に発信するな」と禁じながら、「定年までの雇用は約束できない」というのは相当、矛盾している。米国でも金融機関などは禁止しているのでしょうか。

村上:業務中はダメだし、業務内容を投稿することを禁じるケースもあります。会社で禁じられている人は個人で使っているイメージですね。

麻野:リンクトインは別に、転職のためのプラットフォームではありませんよね。ビジネス上の協業であったり、学びの機会であったり、利用していれば得るものは大きい。

 ただ日本ではリクルーティングの要素が強いような印象を受けます。同僚がリンクトインを使い始めると「お前、転職しようとしているのか」といった空気になる。それは、どうかと思います。

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